年度別受賞作品
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第9回選評

第09回 2005年度 受賞作品
選評
作者名:高見マーケティング研究室主宰 実践女子大学講師 高見俊一氏
所属企業:

記事(紹介文)


 「あったか・えっせい」今年の印象は、壁を破り、新たな段階に入ったのではというものです。レベルが上がりテーマに広がりを感じます。日本の専門店の接客サービスは、世界のトップ水準になったのではないでしょうか。応募作品数は、A部門が昨年を上回る598作品、B部門はやや減少して100作品でした。
最優秀賞は、㈱銀座ヨシノヤの山口豊さんの作品「修理靴はりんご?」に決まりました。お客様の喜びが、思いっきり伝わってくる作品です。修理をしたい、それに対し新しいものに買い替えを勧める店が多い中、山口さんは当然のようにお引き受けし、お客様から喜びをりんごに託して受けた話です。
A部門の優秀賞、佐々木留美子さんの「二人のスタートライン」は、中国人の女性のお客様に日本での仕事を笑顔でスタートしてもらいたいと、一生懸命接客をして喜んでいただき、その日自分も初めての仕事を「笑顔」でスタートすることができたのです。
B部門の優秀賞、近藤智香子さんの作品「楽しく働く」は、単調に見えるレジ係の中に本物の接客のプロを見た、という話です。創意工夫して楽しく働く姿がレジに行列を作りました。
A部門の入選作品は、レベルの高いものでした。川崎智子さんの「幸せの輪」は、目の不自由なお客様に「旬」を幅広く感じ取ってもらいました。その接客には頭が下がります。㈱ザ・クロックハウス 中谷慶輔さんの「お客様との信頼関係」は、クレーム対応の話です。単なる解決ではなく、お客様に納得していただき、信頼関係を築こうという「心意気」を感じました。「お姫様になった美紀ちゃん」は、野村友香さんの作品です。販売員が誇りを持つ大切さとともに、小さなお客様に心開いてもらった喜びが伝わってきました。「運動会」は丹羽恵美子さんの作品で、幼稚園の年長さんぐらいのお客様との話です。小さなお客様が運動会で勝てるように、掛け具合をチェックする様子にほほえましさを感じます。「心からの『ありがとう』」は藤原佳織さんの作品。販売の場では固定客づくりが重要な課題になっていますが、名刺を配り続けながら、その効果に疑問を感じていた時、おばあさんのお客様との出会いが不安を一掃してくれました。おばあさんの「ありがとう」の言葉とともに。
これからの3作品は、実力派揃いの企業からの入選作品です。「販売の一歩目」は、伊藤孝治さんの作品。お客様とのトラブルを契機に、接客は忍耐が肝要。素敵スマイルも忍の一字から、というポリシーから一期一会、出会ったお客様に幸せになってもらいたいという心だと目覚めた話。「ハズレくじの宿題」は、小林俊一さんの作品。連絡ミスが原因のクレーム対応でお客様に宿題を出してもらうことを提案。お客様も応じてくださって、無事約束を果たし、満足していただいた話。そして、「車椅子」は㈱新星堂の加藤義質さんの作品です。車椅子の青年が駅で困っているのに遭遇、手助けをしたことから知り合いになり、その後、音楽が好きな青年との親しいお付き合いが始まり、今日まで続いているという話です。「魔法の色」は、㈱リオグループホールディングス 岡田美由樹さんの作品。年輩のお客様に明るい色をお勧めして喜ばれたことで、色の持つ魔法の力を発見したお話です。これから増えるシニアのお客様には、他にも魔法がありそうです。
今年も涙ながらの審査になりました。そして、少し心配していたマンネリ傾向が払拭されました。冒頭に指摘したように、「壁」が破られ、一段進化したようです。お隣の中国の急速な発展は脅威ですが、商品企画(品揃え)力と販売・サービスの力は格段の差があることを実感しています。グローバルな競争が展開される中、日本の専門店の接客レベルが世界一になることは不可能ではないと、毎年数多くのエッセーを読ませていただいてそう思うようになりました。
学校では、「ファッション販売論」を1年生前期で、また「アパレル産業論」「アパレル生産流通論」を3年・4年生で教えていますが、販売について触れる時、過去の入選作品の中からピックアップして学生に読ませます。すると、すぐに、くしゅんくしゅんという音(声)があちこちから聞こえてきます。それを聞いてから、気持ちが純になった状態の時に販売の大切さの話をすると、実にすんなり受け入れてくれます。「販売」というイメージは、確実に良いものへと変化しています。

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