審査委員長プロフィール

審査委員長プロフィール 成城大学卒業後、サントリー㈱入社。自称「窓際OL」として、会社員を続けながらエッセイストとして活躍。 著書に『窓際OLトホホな朝ウフフの夜』『窓際OL会社はいつもてんやわんや』『猛女とよばれた淑女-祖母・斎藤照子の生き方』(新潮社)などがある。 祖父は歌人・斎藤茂吉、父は作家・北杜夫。

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第20回 選考を終えて 「心を届ける」


審査委員長  斎藤 由香

今回も粒ぞろいのエッセイを読ませていただいてありがとうございました。いずれも、お客様にどうすれば満足していただけるか日々努力されている様が目に浮かび、頭が下がる思いがいたしました。それでも各賞を選ばなければならないので、エッセイとして落ち着きがあり、何気ない日常の接客の中で奥の深い洞察力を感じさせる作品を選びました。
最優秀賞の『忘れていた「ありがとう」の大切さ』は、売り上げの数字にばかり気をとられていたベテランの店長が、部下の言動から接客の原点を悟らされるという話です。それが嫌み無く書かれていてとてもいい話だと思いました。
優秀賞の『違い』は逆に若い店員さんの思い込みの間違いを母親から諭されるという筋で、これもまた接客の原点を教えてくれます。若い人が陥りがちな欠点を自覚したところを評価しました。もう一つの優秀賞『この仕事』は文章がよく、さらにオチが効いていて読ませます。まさに「あったかエッセイ」にふさわしい「作品」として評価出来ます。 
特別賞の『非日常の中で』は、熊本地震で被災したお店の店員さんが避難所で自分の店の商品を見つけて感動する話。迫真のドキュメントになっています。
入賞作の『加藤様とジャッキー』。盲導犬にまつわる泣かせる話で私は読後思わず涙ぐんでしまいました。『接客が楽しくなった瞬間』は新人の店員さんがお客様の孫の目線から案内することを学んだという、いい話です。『私がしている余計なこと』は銀座のど真ん中に勤め続けているから出来る「余計なこと」です。つまり銀座界隈のお店案内。こういう業務と関係のないサービスが出来るというのも老舗の強みでしょう。『モテ期到来』はまずタイトルからして引きつけられます。実は達筆のベテラン店員さんが引っ張りだこになるという。その仕事の厳しさにも触れていて好感を持ちました。『立ち止まり、思うこと』は食を通じて人間の有り様を感じさせる好エッセイです。人生に対する深い洞察力に感心しました。『おばあさんとのストーリー』は高齢者施設に行った若者の体験談です。長時間昔話をするおばあさんに対する彼のまなざしが優しくて嬉しくなりました。『ケーキを通じて学んだこと』は、いつも調理場でケーキを作っているパティシエが売り場に出てお客さんとふれあってケーキ作りの原点を知らされる。ケーキ職人さんの成長過程がよく分かりました。『最高の手紙』は閉店間近に飛び込んできたお客さんの難しい要望を聞き、靴を選んで差し上げたら、後からお礼の手紙が来て感激する。よくある話だと思いますが、その手紙の内容とそれを受け取った店員さんの感性がシンクロしてとてもいい話に仕上がっています。『幸せなあたり前の言葉』は閉店になったパン屋さんで「またどうぞお越し下さい」と言えなかった寂しさが、再開店した時に又言えた喜び。それがとても素直に書かれています。
お客様部門の『サンタさんにもらったよ』はサンタクロースを信じている幼い娘に、機転を利かせてその思いを叶えさせた店員さん。これまた「あったかい」ストーリーです。『婚約指輪は二度宝物になる』はまさにお客様の立場から鋭い考察をしていて、店員のみなさんには役に立つエッセイだと思います。
 世の中がデジタル化となり、お客様との接点はフェイスブックやSNSもありますが、これからも店頭での交流はお客様にお会いできるとても大切な場だと思います。昨年、「あったか・えっせいコンテスト」の表彰式の後の懇親会でお会いした方から、「お客様の一言に接客が怖いと思ったこともありましたが、それでもお客様からの『有難う』という言葉は喜びがある。いろいろと悩んで、それを乗り切って今があります」とお聞きしました。お客様との対応が難しくて心が折れることもあるかと思いますが、くれぐれも心身の健康を大切にされ、明るい笑顔で益々ご活躍下さい。

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