年度別受賞作品
退職や転居等により氏名公表許諾未確認の方のお名前は割愛させていただきました。
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厨房職にできる接客

第19回 2015年度 受賞作品
入賞作品
作者名:  奈良佳訓
所属企業: ㈱虎 屋

記事(紹介文)


 私は厨房業務をしており、お客様と接する機会は多くありません。お客様から「すごく美味しかった」、「綺麗な盛り付けですね」等のお言葉を頂戴したとウェイトレスから聞くと、非常に嬉しく思います。
 お客様と顔と顔を合わせての対話はありませんが、私は商品を通じてお客様と対話をしているつもりでいます。お客様に召し上がっていただいたものがご満足のいくものであったならば、自然と顔がほころび笑顔になっていただけると思うのです。しかし、私たちが気づかぬところでお客様がご不満を感じてしまわれることがあるのも事実です。できる限りそういったことがないように努めていますが、ご指摘を受ける場合もあります。
 新入社員だったころ、抹茶を提供したときにお客様から「味が薄い」というご指摘を受けました。そのときの私は、「また作りなおせば大丈夫だろう」と心のなかで思いましたが、それではいけないと、先輩方の対応をみて感じました。「私たち作り手は普段接客できないかわりに、どういったところでサービスをお客様にお届けできるのかを考えなければならない」と教えてもらいました。
 お客様から抹茶を「薄い」と言われたとき、作り直して終わりにするのではなく、どのくらいの濃さがお客様のお好みなのかを考えて味を調節していました。こうした姿勢に私は感動し、こんな気持ちのままでは、真剣にお客様に向き合っている先輩方に失礼であると感じました。
 プロの仕事というのは、お客様に私たちが歩み寄ることなのだと思いました。味が濃い・薄い、熱い・ぬるいなど、お客様のお好みを把握することで、徐々にお客様との距離が近づいてゆくのだと感じました。先輩方のようにお客様に歩み寄っていかなければ本当の意味で満足していただけないのではと考えるようになったのです。
それからの私はウェイトレスに積極的に声をかけて、どういったお客様が召し上がるのか確認するようになりました。ご年配の方なのかお子様なのか、男性か女性か、そのお客様にとって最高の商品を出せるよう努めています。
 ご年配の方には、召し上がりやすくカットしたほうが良いか。お子様には、お茶碗があまり熱くないほうが持ちやすいかなど、こちらから提案するようになりました。するとお客様から「食べやすかったわ。ありがとう」などのお褒めのお言葉を頂戴する機会が増えました。
 こういったお言葉をいただけると励みになります。お客様が何を望んでいらっしゃるかを考え、美味しい和菓子を喜んで召し上がっていただけるよう、これからも日々努めていきます。

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