年度別受賞作品
退職や転居等により氏名公表許諾未確認の方のお名前は割愛させていただきました。
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バッチから繋がる出会い

第19回 2015年度 受賞作品
入賞作品
作者名:  遠江明美
所属企業: ㈱パスポート

記事(紹介文)

 「あら、どこで手話習っているの?」
とレジでやや不機嫌そうなお客様に声をかけられました。
「他県で手話通訳の資格を取って仕事をしていたので、パスポートでも聴こえないお客様のお役に立てればと、自作の手話バッチを付けているんです。」とお答えすると、
「そうだったの。私も手話通訳の仕事をしていてね。実を言うと、ちょっと手話を習ったくらいでバッチを付けているのかな、なんて疑っちゃった。ごめんね。きっとみんな喜ぶから、サークルとかで宣伝してあげる」と、笑顔でお帰りになられました。
 それから数ヵ月後、手話をしている若いカップルがご来店。もしやこの前のお客様の・・・と思いながら、ラグマットを悩まれているご様子だったので、「広げてみましょうか?」と手話で話しかけてみました。すると2人は嬉しそうに見つめ合い、「いたね!」と話していました。
「知り合いから、パスポートに手話の出来る店員さんがいると聞いたんです。まさか会えるとは運がよい。可愛い商品に目移りして〝はんなり豆腐〟の感触にハマりました(笑)。今、ラグマットの色で悩んでいるんです」
やっぱりこの前のお客様のご紹介でした。
「ご来店いただき嬉しいです。ラグマットは広げると感じが分かると思います」
「ムラサキとピンクで迷っていたけど、ピンクの方がステキですね。ピンクにします。」
「レジでお預かりしておくので、他もゆっくりご覧になって下さい」と伝えると、2人はニコニコしながら、いろいろな商品を選ばれていました。
 お会計の時、思いきって、「もしかして新婚さんですか」と聞いてみると、「今月から一緒に住んで、来月入籍するんです。」とテレ笑い。
「おめでとうございます。何か幸せオーラが見えましたよ」と言うと、
「やっぱり手話ができる店員さんといろいろお話しできて嬉しかったから、きっとその嬉しいオーラですよ。」と一本取られました。
「今日は来て良かったね。新居に必要なものがいっぱい揃えられて〝はんなり豆腐〟もわが家へ。これを見たら、パスポートの店員さんとの出会い、一生忘れないね」と話しながら、仲良く帰って行かれました。
「またお待ちしております」
バッチを付けていた事から始まった、お客様からお客様への繋がり、そして出会いに胸がいっぱいになり、今まで自分が培ってきた知識や経験が、今こうやって発揮できることを誇りに思いました。自作バッチも捨てたもんじゃないなと自画自賛しつつ、今日も素敵な出会いに胸躍らせながらお店に立っています。

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