年度別受賞作品
退職や転居等により氏名公表許諾未確認の方のお名前は割愛させていただきました。
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モテ期到来

第20回 2016年度 受賞作品
入賞作品
作者名:  橋本 薫
所属企業: ㈱虎屋

記事(紹介文)


 美人でもなく若くもない。そんな私ですがモテています。もちろん男性に!といいたいところですが、老若男女問わずのお客様にです。その訳は、熨斗紙に名前を書き入れる筆さばきの上手さ?ゆえです。
 私の職場は、高級和菓子専門店。しかも有名百貨店内にあるため、1年を通して進物のご利用がとても多いのです。
「お中元の熨斗で」「誕生日のお祝いに贈るんだけど」「お礼の品に」等、様々な贈り物として、ご用途に見合う熨斗を提案し、お客様のお名前を書き入れて仕上げます。
 小学生の頃から中学生にかけて書道を習っていた私は、当然他のメンバーよりも上手く書けるつもりでいました。そして若さゆえに、少し天狗になっていたのかもしれません。
 ある女性のお客様のお名前を書いて確認をしていただいたところ、ご覧になってひと言、
「うーん、やはり名前は書かなくていいわ」
と言われてしまいました。
(エーッ? なんで? どうして?)と思いながら、お客様から受けた初めての反応に、理由を問うことができず、商品を包んでお渡しし、結局「ありがとうございました」とお見送りをしてしまいました。
 とてもショックでした。天狗の鼻が? 心が折れて、倉庫に逃げ込み泣いてしまいました。もしかしたら驕りが文字に表れていたかもしれません。丁寧に書けていなかったのかもしれません。それを気付かせてくださったお客様との一件でした。
 それからは、心して丁寧に、自信がない時は必ず書き直して仕上げるようにして、あの時のお客様に備えました。
 月日は流れ、練習を重ね、近頃は社内の書道部に在籍し、更に腕を磨いています
たかが名前書きです。たくさんあるお客様対応の、ほんの一瞬の出来事です。
それでも、「ありがとう、こんなに綺麗に書いてくれて」「嬉しい、すごくいいわ。手書きでしょう」「パソコンじゃないの?上手い!」などと、笑顔で喜んでくださることが、何よりも嬉しくて幸せを感じます。
「あなたに名前を書いてもらおうと贈り物を買いに来たんだよ」と声をかけてくださるお客様方に感謝しています。
 更にファンを増やそうと、今日も心を込めて、お名前を書き入れています。

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