年度別受賞作品
退職や転居等により氏名公表許諾未確認の方のお名前は割愛させていただきました。
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ホントノオミセ

第03回 1999年度 受賞作品
入賞作品
作者名:(氏名割愛)
所属企業:一般

記事(紹介文)

 
 ボクの住んでいる所は、本当にいなかです。でも、ボクはココが大好きです。街には物がたくさんあって、たしかにイイトコロです。けれども、街の人たちは、苦手です。
 とにかく、ボクにはあいません。お店でもなんか人が多いし、やたらとデカい。店員もアルバイトの人が多く、機械みたいにレジを使いこなしています。なんだか肩がこります。ほんと、好きになれないんですよ。
でも、あの店は違いました。ボクはあの日も、母と一緒に買い物に出かけました。そこで、「新しくできたお店に行こう」ということになり、ボクと母は新しいお店に入りました。ひと言で言うと、一般的。どう見ても、これといった点がない。品ぞろえはまあまあ、他は特に。〈新しいだけで、たいしたことはないな〉。そんなことを思いつつ母の後についていきました。
 牛乳、猫のエサ、カレーの…。よし。全部入れたな。母と一緒に確認して、カゴをレジに持って行き、カゴをおいた次の瞬間、ボクはビックリしました。店員の人が、「こんばんは」と声をかけてきたのです。その後は何も言わずに仕事をしていたが、「こんばんは」のひと言にはおどろきました。普通は、「いらっしゃいませ」だ。一瞬、自分が何をすべきなのかわからなかった。街で知らない人があいさつしてくる。こんなことは初めてでした。
 それ以来ボクは、そこが気に入っています。あいさつがこんなに気持ちいいものだったとは、ほんとうにおどろきました。〈元気にあいさつ〉。これが、本当のサービスだと思う。そして、それが出来る店員は本当の店員で、本当の店員のいる店は、本当のお店だと思う。そして、そんなお店には本当のお客がつく。あなたは本当のお客ですか?

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